概要
木地の形を整え、補強して、漆を塗れる状態にすること。輪島塗は下地の作業に、壊れやすい部分に布を張る布着せ(ぬのきせ)や、地の粉(じのこ)を使った地付けなど独自の手法を用いる。
具体的な手法
1.刻苧(こくそ)
本格的に漆を塗る前に、まず木地の補強をする。たとえば、木地に小さな割れ目があった場合、そこを小刀で彫って、刻苧を埋め込む。乾燥させてから、カンナで削って平らにする。このあと、木地全体に漆を塗って、乾燥した木地の吸水性を防止するために、木地固めという作業を行う。
2.布着せ(ぬのきせ)
木地の傷みやすいところや弱い部分を補強するために布着せという技法を用いる。布着せというのは細長く切った布を木地に貼り付けることをいう。布は薄い寒冷紗を用い、漆を塗った作業台の上に並べ、さらにその上からヘラで漆を塗り付ける。このとき使う漆は、生漆に糊を混ぜ合わせたもので、漆まみれに塗った布を棒で引きあげ、木地に貼り付ける。ヘラでこすりつけてしっかりと密着させ、仕上げは指先に水をつけて丁寧に押さえていく。
3.惣身付け(そうみつけ)
布着せした部分と木地との境をなくすために、生漆に糊と地の粉、木粉を混ぜたものをヘラで塗りつけていく。
※地の粉=300年前に輪島の漆器業者が発見したもので、市内の地の粉山から採掘する最良質の珪藻土を蒸し焼きにしたものの粉末。
この粉を混ぜると堅く引き締まるため、漆器はますます丈夫になる。布着せとともに堅牢な輪島塗のセールスポイントのひとつである。
4.惣身磨き(そうみみがき)
惣身つけが終わったら乾燥させ、次に荒砥石で磨く。
5.地塗り
一辺地塗り ⇒ から研ぎ
二辺地塗り ⇒ 二辺地研ぎ
三辺地塗り ⇒ 地研ぎ
ヘラを使って、下地を3回つける。そのたびに荒砥石で研ぎあげ、凹凸を滑らかにしていく。この3回にわたる下地付で使用する漆は、一辺地漆は、生漆に米糊少々と地の粉を混ぜ合わせたもので、二辺地漆三辺地漆と進むごとに糊の占める割合を少なくし、地の粉の肌理(きめ)も細かくしていく。三辺地のあと、水をつけながら砥石で研ぐ、地研ぎという作業をして、下地塗りはようやく終わる。
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