沈金の製造工程 輪島塗漆器の稲忠

輪島塗漆器 稲忠 Official Website

輪島塗の稲忠は、創業以来、輪島塗漆器の製造販売を営み、塗師屋として輪島塗の普及に努めています。また、漆器の修理等も承っています。

輪島塗漆器のINACHU JAPAN

輪島塗漆器 稲忠の世界

稲忠漆芸堂 加飾 工場内


輪島塗漆器の製造工程:沈金

概要

加飾(塗り物の上に絵を描く)の手法の一つ。ノミで表面に模様を彫って出来た溝に漆をすりこみ、そこに金箔や粉、あるいは色の粉を埋めて模様を描く。

歴史

沈金の歴史は古く、宋代(960年~1279年)の中国で産まれ、明代(1368年~1644年)に最も盛んになったといわれる。『鎗金』と中国で呼ばれたこれらの作品が日本に伝わったのは南北朝時代(1336年~1392年)の事で、やがてこの技法を真似て日本でも沈金で加飾された漆器が作られるようになった。

輪島にこの手法が伝わったのは江戸時代享保期(1716年~1735年)のこと。大工五郎兵衛という人物が、中国の鎗金作品を参考にして始めたという。これを輪島流にアレンジして根付かせたのは明和期(1764年~1771年)の城順助(たちじゅんすけ)という人物で、京都に渡って絵画と沈金の技術を習得し、輪島の沈金技術の発展に大きく貢献した。

明治・大正・昭和にかけて輪島では多くの沈金の名工が産まれる。その中でも新たな表現技法をうみだし、沈金という技法を芸術の域まで高めたのが前大峰(まえたいほう)である。彼はそれまで線にそって彫られていた沈金の溝を点として彫る『点彫り』の技法によって、立体感や質感のある装飾を可能とした。

具体的な手法

  • 下絵(したえ) : 和紙に下絵を描く。
  • 置き目(おきめ) : 器に下絵を写す。
  • 素掘り(すぼり) : 沈金ノミで、点や線を彫りつつ絵を描く。
  • 漆のすりこみ : 素掘りで彫った部分に漆を塗り、余計な漆を拭きとる。
  • 箔置き(はくおき)、あるいは金入れ(きんいれ) : 箔置きは文様の上に金箔や銀箔を貼る。金入れは金の粉を彫った部分にすりいれる。
  • 定着 : 漆に金箔が定着するよう湿気をあたえ、一定時間おいて乾かす。
  • 仕上げ : 文様の金箔(金粉)が定着したら余分な箔をふきおとして、さらに時間をおいて付けた部分を完全に乾かす。



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稲忠の沈金作品 沈金絵皿「東海道五十三次 箱根」
広重の名画に着想を得て描かれ、点彫りによって山々に立体感が与えられている。現在は日本橋から始まって、20点余りが完成しているが、最終的には京都の三条大橋まで、55枚全てが仕上がる予定である。

沈金の主な作家

前大峰 『沈金(ちんきん)猫(ねこ)文(もん)「けはひ」飾筥(かざりばこ)』など

今に至るまでの沈金職人の代表格。点彫りの技法を生み出し、沈金を芸術の域にまで高めた。

藤井観文 『片切沈金彫春秋花文飾筥(かたきりちんきんぼりしゅんじゅうはなもんかざりばこ)』など

漆芸のみならず日本画家としても著名。沈金技法の中でも片切彫り(片側を斜めに彫っていく技法)に優れた。

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